涙飴

「お祭行かない?」



突然の美津菜からの電話。
何かと思えばそんな内容だった。


「……いいけど、華耶は?」

やっぱり、今華耶には会いたくない。


「華耶は……誘ってない」


美津菜の声がさっきよりも小さくなったのが、電話越しでも分かった。


「あ!でも華耶は大地と行くって言ってたよ」


あたしは美津菜を安心させる為に嘘をついた。
言ってはいなかったけど、ここら辺で一番大きなお祭だし、多分二人で行くだろう。


「そっか。でさ……あたしらの他に二人居るんだけどいい?」


誰だろう。
クラスの子だろうか。


「誰?」


「鳴海と五十嵐」


鳴海と五十嵐!?


「何で!?」


「勇気出して誘ったの。でもさすがに鳴海と二人はさ……付き合ってる訳でもないし、誘いにくいじゃん?」


「ふーん……で、あたしと五十嵐もって言ったんだ」


「……うん」


正直に美津菜は答える。
嫌って訳じゃない。
でも美津菜は鳴海と話す訳だから、自動的にあたしは五十嵐と話す事になるだろう。

まぁ、美津菜の恋を応援するって言ったのは自分だし……。



「分かった。いいよ」
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