涙飴
もしかして…大地……
華耶に、本を買ってあげようとしたの……?

笑顔がひきつる。
上手く、笑顔が作れない。


「良かったな」


大地が微笑みながら華耶に言う。
……頬が少し赤くなってる様に見える。

ちょっと待って……あたしの勘違いだよね?
考えすぎだよね?

まさか大地が、華耶を好きなんて事、ないよね……?



信号が青に変わる。


「じゃ、行くね。ばいばい!」


華耶はそう言うと、あたし達に背を向けて横断歩道を渡りだした。



良かった……。





そう思った時、華耶の足が止まった。






嫌な、予感がした。
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