《完》オフィスでとびきりの夜を
5―悲しいキス
     ☆☆☆☆☆



「どーゆーことなの?

明日返事する、なんて……!」




――夜。



瑞樹が部屋にやって来る
なり、あたしはつかみ
かかるようにそう聞いてた。



『後から行くから先に帰ってて』



そう言われたから、自分の
家に帰ってずっと瑞樹を
待ってた。



10時をまわった頃、一旦
自宅に戻ったのかやっと
私服姿の瑞樹が来て――
もうあたしはいても
たってもいられなくて。




問いと一緒に、今日1日の
モヤモヤを全部ぶつけた――

そんな感じだった。



「莉央………」



部屋の入口に立ったまま、
瑞樹はつめ寄ったあたしの
体をその腕で抱きとめて、



「……とにかく、座ろう?

ちゃんと話すから」
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