君の世界が色をなくしても
prologue
真剣な眼差し。静かな空間。
少し先の丸い鉛筆が、真っ白な紙の上を滑って行く。
時に優しく、
時に切なく。
何人足りとも真似出来ない、芸術を創り上げる。
小さく、息をついて
見せる君の笑顔。
口元をわずかに緩めただけの、笑顔。
ほんの一瞬。
わずかな瞬間。
その一瞬を、あたしが捉える。
空間を
1枚の写真に閉じ込める。
──君の世界が色を失っても
その輝きは、色褪せはしない。