俺はお前だけの王子さま
授業中、先生から連絡を受けて
病院に駆けつけた。


暑い夏の日。


先生が手配してくれたタクシーの中で全身の震えが止まらなかった。



恐る恐る部屋に入る。


薬品の匂いが充満する部屋で


静かに点滴につながれ
目を閉じたお母さん。


お医者さんには軽い過労だと言われた。


小刻みに震える体が
お母さんを見てようやく止まった。


同時に安堵の涙が溢れた。


「お母…さん…」


ベッドのお母さんを見る。


お母さん…

こんなに痩せてたっけ…?


お母さんが急激に老いたような気がして怖くなった。


大好きなお母さん…


私と勇気のために
生きてきたお母さん。


私もお母さんを助けなきゃ…


そう心に決めたあの日―…



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