俺はお前だけの王子さま
「何にやけてんだぁ?」


頭上からヒロキのまぬけな声がした。


ああ…?

顔に当てた手をずらすと指の間から

俺を覗きこむヒロキと目が合った。


「にやけてねぇし。てかお前なんでいんの?」


「ん―?トイレついでに会いにきた的な?」


「………」


会いにきた

渡瀬にな?


「んじゃ俺もトイレ。」


俺はヒロキに席を譲って
その場を離れた。



トイレ待ちのふりをしながら
少し離れた場所から渡瀬とヒロキを見る。


楽しそうに話す2人


一見いつもと変わらない爽やかなヒロキ


だけど俺には分かる。


ずっとダチだったから。


ヒロキは今、
すげぇ良い顔してる。



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