俺はお前だけの王子さま

夏が始まる

修学旅行から帰って数日。


いつの間にか聞こえだした蝉の鳴き声と共に

明日から夏休みが始まる。


今日は終業式。



結局―…

たった数日では水梨くんを説得できず、今も宙ぶらりんな関係は続いている。


水梨くんって優しいけど強引で

なんだか断れないんだよね…。



「愛子大丈夫?なんか顔が疲れてる」


終業式の後、
苦笑しながら加奈子が言った。


「大丈夫…じゃないかも」


体育館から教室に戻る廊下。


たったこれだけの距離でも何人もの女の子が私をチラチラ見る。



修学旅行以来、
《水梨くんの彼女》の私は密かに注目を浴びていた。


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