俺はお前だけの王子さま
波の音に包まれた静かな沈黙


しばらくすると
水梨くんは顔をあげた。


「はは…なんかしんみりした?」


そう言って笑う水梨くんは
私の腕を優しく戻した。


「つーか…諦めたくなくなるから慰めなくてい―よ」


「…………」


「って、そうさせたのは俺か?」


首をかしげる水梨くん。


「ちなみに俺、春馬のことは
大好きだからね?」


「うん…知ってるよ。」


私の返事に
水梨くんはにっこりした。


「春馬はさ~昔っから欲がないんだよね。」


水梨くんは打ち寄せる波を見ながら、どこか遠い目をした。


「とりあえず、恵まれてんじゃん?俺が欲しいもんとかも全部持ってんの。」


「うん」


「俺、内心ちょっと羨ましかったんだよね。だけどアイツは純粋に俺が好きでさ」


「うん…」


「ほんと俺ばっか…汚い」


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