俺はお前だけの王子さま
「これが赤ちゃんですよ。こっちが頭で…心臓も元気に動いてますね」


「え…心臓ももう見えるんですか?」


「見えますよ。ここに」


先生が画面を指差して教えてくれる。


そこには…


小さな点がトクトクと点滅するように見えたり消えたりしていた。


すごい…

こんなに小さいのに…

もう心臓はちゃんと動いてるんだ。


こんなにも懸命に生きている…


「…………」


それを見た瞬間、私は涙が溢れだしていた。



私と王子くんの赤ちゃんが…

本当にここにいるんだ。











診察が済むと先生がエコー画像を印刷してくれていた。


先生と看護婦さんが微笑んでくれる。


「おめでとうございます。予定日は12月中頃になりますね。」


「はい…」


「こちらで産みますか?」


先生は優しく私を見た。


「…………」


私の中の不安は、いつの間にか小さくなっていた。


それよりも―――…


「はい。産みたいです…」


私は涙をぬぐいながら答えた。


それよりも、この子を産んであげたい。


私と王子くんの赤ちゃんを産みたい。


印刷してもらった画像を見ながら強くそう感じていた。



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