キミといたくて ~YUI~

忘れるも何も、もう奈美たちとは。

「お母さ……」

「どうせ遊びにもいくんだろうけど、ちゃんと勉強もしなさいよ? 勉強会だって言うから、泊まるのを許してるんだし」

その話はなくなった、と言いかけたあたしの声をさえぎり、お母さんはブツブツと小言を言いはじめる。

「……」

「何してんの、早く着替えてきなさい。ご飯、もうできるわよ」

「……うん」

野菜やお肉でパンパンに詰まった冷蔵庫。

張り切って、うるさいくらいに何度も「泊まりにくるから」と言っていた1週間前の自分を思い出すと、今更「なくなった」とは言い出しにくかった。

ケンカして仲間はずれにあった、なんて恥ずかしくて言えない。親には、学校でも元気だと思われていたい。

「……どうしよう」

2階にあがったあたしは、自分の部屋の隅に置かれた布団を見つめながら、ため息をつく。
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