過去の秘箱


ケータイ事件以後は…気まずい空気が味方となり、父は部屋にはやって来なかった。


そんなある日の事……沙織がお風呂に入っていたら、そーっと覗かせた顔が……。


ドキッ!お父さん?



違う……それはお父さんの小型…詩織だった。


「お姉ちゃん…学校で今日ね……恐い話し聞かされたんだ…だから恐くて……一緒に入っていい?」


と、詩織が甘えてきた。


この頃、冷たくなった私の機嫌をとるかのように……初めて出来た細い溝を埋めに来たかのように……詩織は幼いなりに、懸命に修正しようとしていた。


「いいよ、おいで」



詩織は素早く服を脱ぎ捨て、湯船に飛び込んできた。



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