過去の秘箱


マー君と離れた沙織が部屋に帰ると……予想通り…灯りが点いていた。


板前がケーキを前に、待っていた。


さっきとは違い、今度は大きな丸いバースデーケーキ…ロウソクの数は同じ17本。


18本の時には………この炎の向こうには絶対にいてほしくない顔だった。



詩織は、父と住んでいた家を完全に出てしまった。


学校も行かず、徹とか言う男の家に転がり込み、まだ15歳だと言うのに、歳をごまかしてキャバクラに勤め出したらしい。


沙織の所に、詩織からの連絡は一切なかった、何故なら、詩織は、自分を捨てた姉を恨んでいた。


父親が違う事も……沙織の悲箱も知らない詩織にとって……それは当然な感情だった。


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