過去の秘箱


破れた皮膚から鮮血がほとばしる。


その手首を……噴水内の水中に浸けた。


みるみる内に、手首周囲の水が紅く染まっていく。


でも闇夜の中……その紅は黒にしか見えない。


神様…誰が悪くても、もうそんな事はどうでもいいです。


ひとつだけ、今死に行く私の願いは…このお腹に宿った魂が……マー君の分身であってほしい……。


この体が受け入れた愛は……マー君の愛であってほしい……。


神様……お腹にいる赤ちゃんのお父さんは……間違いなく中谷雅之だよ……って、私に言って下さい。


その言葉を頂きに、今からそちらに行きます。



哀しき錦鯉……自ら血を抜き、死を選びました。



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