過去の秘箱


「詩織……泣かないで、ゆっくりでいいから、お姉ちゃんに何でも言って」


「今ね……私、家で一人なんだ。
お父さんが…お父さんがね…2ヶ月前に事故にあって……下半身がもう動けなくなって、で……車イスで……病院に入院してたんたけど、病院代も払えないから……役所の人が来て、先週から施設に移されたんだ……もう仕事も出来なくなって……たぶん……これから、もうずっと、そこから出れないと思うんだ……」


なんて事……。


「詩織……2ヶ月前って…そんな…何で?何で、お姉ちゃんに連絡してこなかったの?」

「アァァァァン~」


詩織は、只泣くばかり。


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