過去の秘箱


親戚中をあちこちを探し歩き、知り合いや友人宅も尋ねてはみたが…母親の行方は一向に分からなかった。


スナックに来ていた只の客、地元の人間でない事だけは確か、何処からか流れてきた正体の知れない男は、この姉妹から母親を奪い去り逃げて行った。



それから3ヶ月……。


生きているとは哀しい事に、食べなければ死ぬし、食べれば便もする、お腹が減るとまた食べる。


起きていれば、次に眠たくなるし、眠れば、また目が覚める。


妻を…母親を…恋しがってばかりでは生きていけない。


妻のいない明日は、母のいない明日は、嫌でも勝手にやってきた。



< 7 / 221 >

この作品をシェア

pagetop