ただ風のように


「男子、10分休憩!!」


コーチがそう言った途端に汗だくで喉を潤したい男バスの先輩達が押し寄せてくる。


若干、恐怖を感じながら用意していた氷とドリンクを渡していく。


先輩達は笑顔でそれを受け取り、風の当たる場所へ移動していく。


タオルを渡しにそのあとを追うと先輩達が体育館脇の階段に座っていた。


「あ、あの!!タオル持ってきました。冷やしてあるものもあるので使って下さいっ」


緊張しながら良い終えると1人の先輩が階段から降りてきて私が抱えていたタオルが入っている箱を受け取った。


「ありがとね」


その先輩が言うと周りの先輩達も各々、お礼の言葉を口にした。


「い、1年なので当然です!!」


そう言うと箱を受け取ってくれた先輩が笑顔で言った。


「1年なんだ。名前は?」


「あ、藤原夏々海(フジワラナナミ)です」


「夏々海ちゃんね。1年なのに気が利くんだね。海頼(ミライ)もお礼言いなよ」

バシッと背中を叩かれたその人は「どーも」と会釈しながら言った。



外国人みたい。綺麗な白い肌に彫りの深い顔。かっこいいな。


「夏々海ちゃん?ごめんね、こいつ無口でさ。怒ってないから気にしないでね」


何も言わない私に気を使ったのか先輩はフォローをした。


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