晴れのち飴

嵐side

太陽が弟の話を
全て話し終わり、
俺らの周りには
何とも言えない空気が
流れていた。


「俺はもう
何も失いたくないし
誰も傷つけたくない。
お願いだから
嵐の抱えてるものを
俺に教えてくれないか?」


太陽の言葉に
俺は一瞬ためらった。


でも何故だか、
俺は太陽に
少しずつ過去のことを
話しはじめていた。



「...った。だから俺は
誰も信じないし、
誰からも
信じてもらわなくていい。」


最後にこう言うと
太陽が俺を
真っ直ぐ正面から見て
こう言った。



「なら、なんで今
俺に話してくれたんだ?」


俺は言葉につまった。
そんな俺を
太陽は畳み掛ける。


「信じてもらわなくて
いいなんて嘘だろ?
本当は誰かに
信じてほしいんだろ?
また誰かを信じたいんだろ?」


「そんなことねぇ!」

俺は太陽に
つかみ掛かった。

だが太陽は
ひるむことなく
話し続ける。


「ねぇことねぇよ!
少なくとも
話し終わったお前の目は
今までと違う。」


「...っ!」


俺は何も言えなかった。



信じていた全てのものに
裏切られた日、
俺は心に決めたんだ。


もう誰も信じない。と。


だけど今こうやって
太陽と話していると
俺の心が疼きはじめた。


誰も信じない。


そうやって
突っ張って
ここまできたけど
心のどこかでは
ずっと、
待っていたのかもしれない。


このときを。




「俺はお前を信じる!
だからお前も俺を信じろ!」


太陽は涙を流しながら
俺に言った。



(あぁ、やっと
このときが来たんだ。)




そうして俺は
再びちゃんとした道を
歩みはじめた。


太陽と一緒に―



嵐side end

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