大切なもの



「大丈夫。
あの時の事はちゃんと覚えてる。
忘れてない。」

「……そう、良かったわ」


もしかしたら、そうやってずっと千湖の隣に居ることで、幸せを制限させているのかもしれない。


もしかしたら、こうやって言うことによって、千湖自身が動けなくなっているのかもしれない。



「千湖、授業が始まる。
次は数学だから、
……はい」


いつも通り千湖の為に用意した教科書を置いて、自分の席に戻り伏せて眠る。


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