Fahrenheit -華氏-

俺はバッと顔を背けると、思わず口を覆った。


ヤバイ!!可愛すぎだろっ!!!


これじゃ始める前に俺がダウンしそう。


そんなことを考えてるうちにごそごそと布団の音がして、


「……いいですよ」と小さな声が聞こえてきた。


俺が振り向くと、柏木さんは布団の中に潜り込んでいてこっちに背を向けている。


片方の腕を出して横向きになっていた。


前に一度見た腕のタトゥーがはっきりと存在を誇示している。


俺はそのタトゥーから目を背けると、いそいそと残りの服を脱いだ。


「お邪魔しま~す♪」


と言って、布団の中に潜り込む。


柏木さんは振り向かなかった。


そんな冷たい態度も、今は愛おしく感じる。


俺は柏木さんの背後から華奢な背中をぎゅっと抱きしめた。


柔らかくてさらりとした肌の感触が腕にしっとりとなじむ。






あー……幸せ…




そう思いながら柏木さんの首筋にキスをした。


柏木さんがちょっと振り向いた。


その頬がほんのちょっと赤い。柏木さんは言いにくそうに口を開くと、


「……部長…当たってます…」


と言って眉を寄せた。


「す、スミマセン」


俺はちょっと腰を引いた。







< 208 / 697 >

この作品をシェア

pagetop