月影
「家族みたいなもんだって言ってたし、もしかして婚約者、とか?」

深幸は言って後悔した。


そうだよ、彼氏じゃなくて、婚約者。
青柳さんくらいの歳なら全然ありえる話だし。


「いや、それはないっしょ」

芽衣がきっぱりと否定する。

「だって、青柳さんは恋人じゃないって否定したじゃん。勘違いする人も多いって。あの言い方だと、つきあってるとかは無いって」

「そ、そうかな?」

芽衣の言葉に少しだけ希望の光が見えた。

「ていうかそれよりも、よ!深幸が言ってたコタロウさんってさっきの人!?めちゃくちゃ格好いいじゃん!なに、モデルの人!?」

芽衣が興奮気味に聞いてくる。

「わかんない。芽衣も知らないならモデルじゃないんじゃない?でも、格好いいでしょ!!」

まるで自分のことのように自慢する深幸。芽衣は唸った。

「あんなレベルそうそういないよ。はぁ、見れてよかった」

うっとりとする芽衣に、深幸もうんうん、と頷いた。



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