ひねくれ双子の険しい恋路


『…………』



梨沙……に気付かれた。


それはあたしにとってすごく意外なことで。


でも、やっぱり双子だなって。



「砂希、どうなの?」


梨沙があたしを問い詰める。



『うん……。きっと、好き…』



梨沙の前で認めるのは少し怖かった。



―――朝日がダメだったから一夜にした



って思われたくなかった。



「よかったぁ………」



その言葉は優しく、安堵の息とともに梨沙の口からこぼれた。



『な、んで……?』



あたしはそれしか言えなかった。



「だってさ……。

朝日のことで傷ついたままもう恋をしなくなったらどうしよう……って

あたしのせいだ……って

心配してたの……」



梨沙は眉を少し下げてあたしを見てた。



『……別に傷ついてないよ

梨沙のせいでもないんだから…』


梨沙がそんなふうに心配してくれてたのが嬉しくて、

なんだか照れ臭くて、


怒ってるような、拗ねているような口調になってしまった。



「ふふっ」


嬉しそうに小さく笑った梨沙には、わかっているんだと思う。



こうやってわかってくれるのが、幸せに思えた。



『ほら、もう行こ』

「はいはい」



気付けば、あたしの口角もあがってた。


笑っている時間が楽しい。


梨沙だって、そうでしょ?






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