ひねくれ双子の険しい恋路



あたしのすぐ斜め後ろには教室のドアがある。


そこは開いてて、遠ざかる足音が聞こえた。




……なんで。


いつもこういうタイミングに…。



「ねえ砂希」


『え?』


麻弥は「梨沙」とは言わずに、あたしのことを見て確かに「砂希」と呼んだ。


確かにさっきまで麻弥と話していた梨沙は隣に居るから、その隣に座るのは自動的に「砂希」になる。


けど、あたしに話しかける麻弥が意外だった。



「ちょっと聞いてもいい……?」


『……どうぞ』


真剣な麻弥の目が不思議。




「砂希と麻生くんってどういう関係なの?」




……。


あの流れを見られたら、聞かれるのも予想できた。


てっきり梨沙と喋ってるのかと思えばこっちまで見てたんだ。



『どっちの麻生?』



このクラスには、一夜と静夜の2人の「麻生」がいる。


だからとっさにごまかした。



「ちょっとしらばくれないでよ、麻生一夜君のほうに決まってんじゃん」



なんだか麻弥は楽しそうだった。


別にあたしのことなんか聞いたってそんな面白くないって。



そう言おうとしてやめた。




< 291 / 392 >

この作品をシェア

pagetop