ひねくれ双子の険しい恋路


『あたし、は……』



こんな感情初めてなの。


朝日のときとはまた違う。

梨沙と朝日の気持ちを知っていたから、2人がくっつくまでの未来のない思い。



一夜に彼女がいるとか、好きな人がいるとか一度だって聞いたことなかった。

だからあたしは、少しだけ、心のどこかで期待したんだ。


もしかしたら、なんて。


それに気付いたから、梨沙に“一夜との間に深い関係はない”って言った。


期待して、もしそうならなかったら期待した分もショックが大きいことを知ってるから。



「正直に言ってよ、砂希」




『……心がぽっかりしてる?』


何かが足りない、きっとそんな感じ。


なんかスッキリしなくて、一夜を見ればエリカも目に入る。

それでまたモヤモヤする。


どうしようもできなくて、イライラする。


こんなうじうじした自分が嫌で、うんざりする。



「砂希はこのままでいいの?」


『……よくない、けど』


「麻生くん、とられてもいいの?」


それ、前にも1回聞いた。

けど、梨沙はそれを知っててもう一度言ってるんだと思う。


わかってる、けど…。


『別に一夜は誰かのモノじゃないよ』


エリカのものでもないし、あたしのモノでもない。


とる、とられる、なんて言い方よくない。







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