ひねくれ双子の険しい恋路




――――――


高1の真冬。

とてつもない寒さに慣れてきた頃。


今日は風が強く吹き、雪もひどく、雷も近くまで来ている。

まだ16時なのに、外はもう夜のようだ。


放課後の教室は、カーテンがしっかりと閉められ、暖房もガンガンついている。


正直、教室から出る気がしない。

でも授業が終わった限り、帰らないといけない。


荷物をまとめて席を立つと、ちょうど。


「行く?」

『ああ』


深い赤色のチェックのマフラーをしていた砂希がいた。


朝日と砂希の片割れが、今日は一緒に帰ると言ったからだ。


あの二人は気ままなマイペースだから(特に朝日)、帰りは4人だったり2人だったり、双子同士だったり。


だから、帰りは基本的成り行きだ。



「いーちや!」


ドスっと俺の腰あたりに何かが衝突してきた。

同時に聞こえてきた声からして、誰だからわかってる。

だいたい、そんなことするのは一人しかいない。



『いきなり何だよ、――絵利香』


「勉強教えて」

『俺もう帰るんだけど』

「お願い。明日提出なの」

『俺そこまで頭よくねぇし』

「大丈夫だって!」



「一夜」


俺と絵利香の会話に、澄んだ声が通った。



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