【短編】10年越しのバレンタイン


チョコが無くなると、お兄さんは腕時計を見た。

「もうこんな時間か。俺は大丈夫だけど、君が大丈夫じゃないね。そろそろ帰った方がいいよ」

「うん!」

そして公園の入り口で、私達は別れた。

お兄さんは送ってくれると言ったけど、家は近かったしまだ夕日が見えていたから断った。




今を思えば、もう少し一緒にいれば良かったなんて思うけど。

後から、お兄さんの名前すら知らない事に気が付いた。



次の日、その次の日も私は公園に足を運んだ。

けれどもそれきり、あのお兄さんに会う事は出来なかった。



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