スカイ・ライン
そして今日、彼女はオーストラリアから帰国する。
空港まで迎えに行くつもりはない。
そんなことしなくたって、彼女はこの場所にやって来るだろうから。
今日もズボンのポケットから屋上の鍵を取り出す。
前に、奈緒が複製した鍵を借りてさらに複製したものだ。
扉を開けると、人影があった。
それはあの日と同じように屋上の中心にいるが、寝転がってはいない。
もしやと思いゆっくり近付いていくと、そいつは振り向いて、こう言った。
「ただいま、ユースケ」
〈Fin.〉

