ありがちな恋
時は戻って早朝。
愛奈は部屋の中である決心をしていた。
それは昨日の喧嘩のせいであった半面、今までアタックしていたのに気づいてくれない健に対する怒りのようなものだった。
こんなワガママな私に嫌がることもなく一緒にいてくれるということは、少なからず自分に行為があるってことだ!と思いながら、制服に腕を通す。

(今まで以上に頑張るしかない!)

愛奈は自分に気合を入れるように頬を2回バンバンと叩いた。
その後、ご飯食べ靴を履いて、挨拶をして玄関を出る。
出てきたところを狙い済ましていたようにおはよう!と言った健を見て愛奈はおどろいたがそんなちょっとしたことがうれしかった。
それにかわいいと褒めてくれたのだ。好きな人に褒められるといううれしさはその褒められた人にしかわからないだろう。
だが、健はやっぱり変なこという。愛奈にとっては付き合いたいのは健以外にはありえないのだ。だがそれはチャンスになった。

(朝考えた作戦を実行するには今しかない!)

その作戦とは手を繋ぐという、子供の頃はいつでもやっていたこと。
大きくなるにつれてお互い恥ずかしくなってやめてはいたが、むしろそれはチャンスなのでは?と思った愛奈の考え抜いた作戦だった。
手を繋ぎながら愛奈は健の手が子供の頃よりおおきくなってることに気づく。

(お兄ちゃんの手ってこんなに大きいんだぁ。なんか感動)

当初の目的を忘れて手の頭のことしか頭にない愛奈はニヤニヤ笑っている。
そんな愛奈を見て健は不気味がるのだった。
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