ありがちな恋
場所は変わってここは星野空の部屋。
まだ引っ越して間もないからかダンボールが
何個か積んである。

空はひとりで核心めいていた。

(……愛奈ちゃんって絶対健くんのこと好きだよね?
もしかしてライバル?)

空は制服を脱ぎ部屋着に着替え先ほどいれた
コーヒーをすする。コーヒーメーカーはまだ
ダンボールの中なのでこれはインスタントだ。

(絶対、負けないんだから!健くんと付き合うのは
私だよ、愛奈ちゃん!)

空は自分がこんなにも健が好きなことに驚く。
愛奈に対して闘争心を燃やす自分に。

いつからだったかは空自身にも分からないが
いつのまにか好きになっていた。
だから、引っ越しをすると聞いたときは
とても悲しくなって、一人泣いたのを思い出した。

(で、でも。これからは同じ学校、同じクラス!
だから大丈夫!)


全ては健の知らないこと。気付かないこと。
あの鈍感男を落とすか空は一人で考えて眠る。
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