いいから私の婿になれ
とりあえず専属メイドと言われても、そんなもの雇った覚えはない。

こんなオタクの聖地のような場所だ。

新手の勧誘と考えるのが妥当だろう。

このまま怪しげな店に連れ込まれて、ヤ印の怖いお兄さん方に囲まれてボッタクられるという可能性も無きにしも非ず。

後で然るべき場所に通報した方がいいかもしれない。

こういう場合は警察と消費者センターのどちらに通報するのだろうか。

そんな事を考えながら、黎児と真琴はそれとなく歩き出す。

相手にするからいけないのだ。

無視を決め込んで立ち去ってしまえば、きっと別の客を勧誘するに違いない。

振り返らず歩く黎児と真琴。

…その三歩後ろをついてくるメイド。

尚も歩く黎児と真琴。

…その三歩後ろをついてくるメイド。

つかず離れずの距離を保っている辺りが、九州男児好みの奥ゆかしさだ。

「黎児、ついてきとる、ついてきとる…!」

「馬鹿、振り向くなっ。目を合わせたら最期だぞっ」

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