恋するマッシュルーム

昔からコーヘーにバカだのブスだの言われ続けて、その愚痴をいつも聞いてくれたのがタロー君だった。


タロー君は「うんうん。」ってただ聞いていてくれただけだったんだけど、特に私の味方をしてくれていた訳じゃないんだけれど、コーヘーの悪口を思いきり遠慮無く言えたのは弟のタロー君にだけだった。


だって女友達に言っても「私もコーヘー君になら虐められてみたい!」とか、「コーヘー君に構って貰えるなんて贅沢よ!」というような前向き過ぎる意見しか貰えなかったから。


だから、そんな経験から女子達には毒づけないと悟った。

コーヘーの毒が既に彼女達には回っている。


私はただ「アイツマジで酷いよね!」とか「キノコのくせに生意気だよね!」とか「毒キノコだよね!」とか、ヤツの悪口を言って「ダヨネー」という共感が欲しかっただけなのに…


今まで誰一人として共感してくれる者は居なかった。


それどころか、私がコーヘーの悪口を言う度に、その時コーヘーに好意を寄せているコや、その時のコーヘーの彼女などから、「相手にされないからってコーヘー君の悪口言うなよブス!」って毒づかれたりしたのだ。


コーヘー…憎し!!!


あのような人の気持ちも顧みない男にさんざんバカにされ、おまけにブスだのブサイクだの言われ続けたせいで、情けない事に私はすっかり自分に自信が無くなってしまった。


おかげで20歳になる今の今まで彼氏の一人も居たことが無い。

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