27年後の王子様
橋を渡りきり、見慣れた街の見慣れた景色。
マンションの下の街路樹はイルミネーションで飾られていて、私はそこで路木さんの車から降りた。
「送っていただいて、ありがとうございます。」
「今さら他人行儀だな。」
ふっと笑う路木さんに私も笑って言った。
「また飲みに行きましょうね!」
「…あぁ。」
切なそうな顔をした路木さん。
その表情が、
どうしてかいつまでも私の脳裏に焼きついていた。