わたしとあなたのありのまま


「どうだった? 田所」

 翌朝、綾子が一言目に発したのはこれだった。
 一応心配しているのかな。

「うん、大丈夫そう」

 とだけ答えた。
 それ以上は何を話せば良いかわからなかった。
 色んな意味で。


 綾子はふうん、とどうでも良さそうに相槌をうってから、

「で、田所と、した?」

 涼しい顔で、とんでもないことを問う。
 『した?』とは、多分あのことですよね。
 どさくさ紛れになんというデリケートなところを突っついてくるのだ、綾子さん。


「――っな訳ないじゃん!
 なんでそんなこと?」

 未遂に終わったから、嘘じゃないよ、うん。

「いや、なんとなく」

 やっぱりどうでも良さそうに綾子は言う。
 私と田所のことには、あまり興味がないようだ。
 いや、クールなだけかな、良くわからない。


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