わたしとあなたのありのまま



「なんで田所なんか、好きになっちゃたんだろ」

 翌日の昼休み、教室で綾子とお昼ご飯を食べている時、思わずボソリと呟いてしまった。

 綾子がペッドボトルのお茶を飲みながら、チラリと私に視線を寄越した。
 蓋をキュッと閉め、

「田所、頑張ってたよ」

 昨日の帰りに言っていたことを、再び口にする。
 何故庇うのだ?

「他に頑張り方あるでしょうが。
 なにもあんなハッチャケなくても」

 ブツブツと愚痴っぽく言う私に綾子は、

「私は田所のこと、ちょっと見直した。
 すごく友達大事にしてるっていうかさぁ。
 友達のためにあそこまで出来るのって、
 田所ぐらいじゃない?」

 などと言う。

 私を宥めようとしているのか、なんなのか。
 とにかく、あんな醜態目撃して好感度アップするとか、綾子の好感度バロメーターは不具合を起こしているに違いない。


< 247 / 318 >

この作品をシェア

pagetop