わたしとあなたのありのまま


 その日の帰り、昇降口で理系のやんちゃ軍団と遭遇。
 5、6人? いや6、7人? どっちでもいいや。
 何やら円陣組んで相談中。

 ああ、そっか。
 田所たち、今から遊びに行くんだっけ。

 時々、ブハッと弾けたような笑い声が響き渡る。
 帰路につく生徒たちが、その円陣を不必要なほど避けて通っているように見えるのは、気のせいだろうか。


 私も綾子と二人、そんな生徒たちに倣って、円陣から十分距離をとり、シレッと通り過ぎようとした。
 けれど、田所の視界に入ってしまったらしく、田所が不意にこちらを向き、視線がぶつかった。

 視線を逸らして俯き、

「田所くん、さようなら」

 ボソリと呟いて、すれ違った。


「ちょっ、ほのか!」


 慌てて田所が私を呼び止める。
 どうしてよ?
 今日は一緒に帰れないんでしょう?

 だから、
 無視して足を止めずに、下駄箱まで歩いた。


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