わたしとあなたのありのまま
 慌てて小走りで田所に追いつき、並んで階段を降りた。


「ねぇ、田所は、どんな女の子がタイプ?」

「それ、もしかして変化球のつもり!?
 全然、直球ですけど?」

 冷ややかに目を細めて、こちらを横目で見る。


「バレたか」

「バレバレだっつーのっ」

「いいじゃん、教えてよ」

「細くて、痩せてて、スリムな子」

 面倒臭そうに、田所は言い放つ。

「骨と付き合えば?」

「バカめ、骨とやれるか!

 あのなぁ、そんなもん自分で考えろ。
 努力を惜しむな」

「偉そうに……
 何さまのつもりだよ」

 独り言のように呟いた。

「田所悠斗さまだっつってんだろ」

「そうでした、あなたは田所悠斗さまでした」


 こんなくだらないやり取りを交わすだけでも、
 私は幸せな気持に包まれる。

 『全力で片想い』も楽しくて良いかも、と思ってしまう。
 
 たとえそれが、
 報われない恋だとしても……


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