君のトナリ
だから赤ペンがいるのに、いくら筆箱の中を探しても先週買ったばかりの赤ペンが見当たらない。


1時間目の国語の授業で使ったから家に忘れたはずはない。


第一、テスト前でもないのに家で赤ペンなんか使わないし。


仕方なくピンクのペンで先生が一生懸命説明している公式を書き写す。


チャイムが鳴ってやっと数学の授業が終わり10分休みになると、左隣の席に座るノリがニヤニヤしながら声をかけてきた。


「あいちゃん、ペンなかったんだろ?」


ふっくらした体型にまん丸の顔。


クラスではお笑い担当で、笑うと目がなくなるノリは男女問わず人気者。


学年に私以外に小川あいがいるため、男子はたいてい私のことを『西野』と呼ぶ。


だけどノリは『あいちゃん』と呼んでくれる数少ない男友達。


そのノリがニヤニヤしたまま話を続ける。


「さっきの休み時間、春斗が筆箱触ってたぞ?」


それを聞いてすかさず立ち上がり隣の2組の教室へ走った。

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