剣舞
サハールから、ガイとレツが帰って来た。

彼等は、楽師に身をやつし、その地と周辺に隣接する宿場街へと、内偵にいっていたらしい。

岩盤を駆け降り、兄弟同然に育った二人を交互にハグする。
 
「おかえりなさい。」

「ただいま。オリビア。
元気だったか?」
「俺たち、役得じゃん♪」

そんな事をいいながらも、旅の報告をするため、二人はジルの元へ向かう。

「私もいくわ。」

オリビアも、そのあとに続いた。


そこで、聞かされたサハールの噂と近況に、オリビアは瞳を曇らせた。


「オリビアに惚れたのは、
水宮の王子らしい。
たしか・・・ヴァイスとかいったな。」

二人は、オリビアに向けて人の悪い笑みを向けた。

彼女に、恋多き女という、根も歯もない噂があることを知っているからだ。

「まあ、それは、相手が相手なもんだから、王子の悲恋って事で、たいして問題にもなってなかった。」

それよりも、だ。



レツが、面白そうに
言葉をつないだ。


 
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