桜の花が散る前に



まるで俺の記憶をかき消していくかのように。




俺から大切な物を奪っていくように―



「大切な物は失った時に初めてその重さに気付くのです」


眠い目をこすりながら受けてた英語の授業



そういえば先生があんな事を言っていた気がする



今なら分かるよ



先生の気持ち




後悔しか胸に残らない



悲しくて苦しくて




言葉にならないこの気持ちが






君が旅立ったあの日



桜の花が散る前に



君に伝えたい言葉があった。



伝えよう、今日こそは伝えよう。


でも結局出来なくて



明日がある、また明日伝えよう



明日があるって誰が決めた?



未来は誰にも分からないのに



明日があるって信じてた。



明日もきっと君の隣で笑っていられるって信じていた。






今なら伝えられるかな。



君は何処かで聞いててくれるのかな。








届くかどうか分からない



だけど君に最初で最後のメッセージを送ろう。




今年こそは



桜の花が散る前に―








< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop