S的？彼氏の思うコト ～平畠 慎太郎side story～

story 1 ～マンション～

「可奈子。絶対離さないからな。」

俺は彼女の耳元で、そう無意識に囁くと、抱きしめる手に力を込めた。
サラサラとした髪から、シャンプーの香りがする。どうやら香水は使っていないらしい。
香水が苦手な俺は、そんな自然体な所にも惹かれたのかもしれない。

やっと自分のモノになった愛しい人。
今までの恋愛で1手に入れるのに苦労した。

胸の中の温もりを感じながら、俺は1ヶ月前の事を思い出していた。
最初の印象は決して良くなかった。
それは、俺のヒネくれた先入観でしかなかったのだが...。彼女は見事に、それを打ち砕いたのだ。