S的？彼氏の思うコト ～平畠 慎太郎side story～

「遊ぶ金欲しさにバイトする様なヤツと一緒にするな。」

『バイトなのに』
その言葉は、思ったよりも俺の感情を逆撫でするらしい。
と、言うより、こいつに言われたのが引っかかっている様にも思える。

俺は、ワザと怒りを込めて、いつも新人に思う事を静かに言った。

今までの新人とは違うと思っていたのに、結局は肩書きや見てくれだけで、人間を決めつけるんだ。

…いや、決めつけているのは俺か？
こいつが遊ぶ金欲しさの為だけに、バイトを始める様な奴では無いんじゃないか？

色々な言葉が脳内を駆け巡る。
俺は、冷静さを取り戻そうと、モニターを睨んだ。

すると、ガタッと言う椅子が倒れる音がした。
驚いてその方向を見ると、新人が赤い顔をして立っていた。

「私は！留学がしたいんです！その資金を貯める為にバイトを始めました！」

大きい声に、更に驚いた。

「...すみません...。」

ハッと我に返った様な顔をした新人は、さっきまでの威勢は何処へやら…みるみる小さくなって行った。

静かに椅子を戻すと、俺の隣にちょこんと座った。

『すみません』…か…。
謝るべきは俺の方だと思うんだが。

全く、こいつの真っ直ぐさには呆れてしまった。
それに、高い志しを叶える為にバイトをしている。

やっぱり、こいつは変わったヤツだ。