S的?彼氏の思うコト ~平畠 慎太郎side story~
「可奈子ぉ!」

ふと聞こえたその声で、俺は現実に引き戻された。

「可奈子?二次会カラオケだって。行くでしょ?」

トイレの方で聞こえる声は、間違い無く渡辺のものだ。
俺は、咄嗟に体を離した。

「行けば?」

虚ろな顔の安浦にそう促すと、小さく頷き廊下へ駆け出した。

背中を見送ると、急に罪悪感が込上げて来る。

「俺は、安浦に何をした?」

少し前まで行っていた行為を思い出し、俺は壁にもたれ掛かった。
そのままズルズルと座り込む。

「俺は、アイツの事...。」

いくら考えを巡らせても、答えは出てこない。

『チューの一つや二つ...』と言うすみれさんの言葉だけが頭の中を木霊していた。



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