S的?彼氏の思うコト ~平畠 慎太郎side story~
考え込む様に立ち尽くす新人。
俺は、答えが出るまで待てる様な出来る人間じゃなかった。

「お前の耳は、よっぽど通りが良いようだな。」

溜息を付きながら、目を伏せる。

「そこに立っているだけなら、猿にでも出来るぞ。…いや、猿の方がまだ可愛げがあるな。」

立っているだけ所か、猿は芸も出来るしな。
俺の皮肉に気付いていないのか、一瞬考える仕草を見せる。

「さっ、猿!?」

やっと皮肉に気付いたのか、そう言うと、顔がみるみる赤くなって行く。
こんなにもバカ素直な反応をする人間がいるんだな。
俺は、怒りに震える新人を置いて、入場ゲートへ向け歩き出した。

「それとも、俺の後をずっとついて来るから、犬の方が良かったか?」

追い越し様に、更に皮肉を続ける。
その言葉に反応する様に、肩がピクッと動く。

「ついて来いって言ったの平畠さんでしょ!」

背後から聞こえる声。
こんなにも言い返して来る年下は本当に初めてだ。

面白いヤツだ。

気付くと俺は、笑っていた。


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