好きの反対。
こんな感じ初めて。
男の子なんて友達にしか
見えなかったのに。
どうしたんだあたし?

「あ、かなー」
「ひーかるー!」
「どしたん?」
「ちょっとねー」

ツインテールの少女が
こちらに向かって駆けてくる。

「かながにこにこしてるん
 久しぶりやねー」
「そかー?」
「うん」

だってやっぱかっこよかったもんな。
ふふ。

「もー、チャイムなってまうなー」
「せやな。じゃ、バイバイ」

手を振り合って微笑みあう。
光ってばほんっと可愛い。
一緒にいるだけで和む。

―――キーンコーンカーンコーン……

教室に着くと同時にチャイムが響き渡る。

「はーい道徳ー」

ゴリがだらだらと入ってくる。
「夢」くらい自分で持ってけや。



「ふー」
「かーなちーん」

光がスキップしながらこちらへ向かってきた。
眠そうな顔だ。

「お昼たーべよ?」
「うん!」

あれから、
職員室の前で出会った彼のことが
頭から離れずにいた。

「屋上いこーか」

光を引き連れ、
唯一のリラックスポイントへ。
立ち入り禁止の看板を無視して
扉を開け放つ―――

すると光の中に人影が薄ら写った。

「ん?だれだろー」

光はあたしを追い越して人影のほうへ近寄る。
その影はさらさらの黒髪の男の子のようだ。
耳からはイヤホンのコードが垂れている。

「いででででで!」

光るが勢いよく耳を引っ張ると、
その影はガバっと腕を払い、
こちらを凝視している。

「あ!職員室の!」

その男の子はあの彼でした。
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