狼くんと子猫ちゃん
なんだよ…人が折角楽しい思いしてるとこに。
突然目の前に来た奴をじろっと睨んでも、効果無いのなんて承知だ。
「…椎。」
「なーんか、良いことあったみたいだな?」
「あー…あったにはあったが。」
曖昧な俺に首を傾げる椎。
楽しかった、が。
椎には言った方がいいのだろうか。
――俺が一人の女に惑わされてるかもしれないこと。
「何。」
「…いや、なんでもねぇ。」
でも今は、不審に目をやってくる椎に苦笑いをして誤魔化すしかしなかった。