しゃぼん玉。
「……ぇ?」

ミルはマオの雰囲気がいつもと違うことに気付き、身体が少し強ばる。
そんなミルの様子を知ってか知らずか、マオは顔を伏せたまま立ち、ミルの前まで近付く。

「なぁ……、言ったよな?
〝人間〟に近付くなって。」

ミルは口を開くことが出来ず、ただ黙って頷く。

「何で〝人間〟に近付いた?」

「それはっ……、気付かなくて……だか「「だから?
仕方なかったって?」

マオはいつもより声のトーンを下げて言うと、元の場所へ戻った。

ミルは、マオの言ったことを守れなかったことや怒らせたことよりも、今目の前で手が震えるくらい握り締めているマオを見ることが何よりも辛く感じた。

「ごめんなさい。
…ごめんね、マオ。
私、もうあそこには行かない。
マオが嫌なら、私は行かないから。」

ミルは後ろからふわりとマオを抱き締め、静かに話した。
マオは自分を抱き締めるミルの腕にそっ、と触れた。

「ごめんな…、ミル。
ホントはこんなことを言って、ミルを縛りたいわけじゃないんだ。
ただ、〝アイツら〟にミルを近付かせたくないだけなんだ。
……ごめん。」

ミルはマオに見えないと分かっていながらも、首をずっと横に振り続けた。
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