しゃぼん玉。
私は……、捨て子だった。
そして、気付いた時には周りに何もない場所にいた。

私を囲む鉄の檻。
ずっと放置されていたかのように蔦が檻に巻き付いてた。
少しは私を配慮してくれたのか、湖のほとりに檻を置いていたの。
足をくずして座っていた私の膝くらいまでが、水に浸かれるようにしてくれた。

でも、気のせいだった。
その時のご主人は、自分の理想の〝絵〟を作りたいだけ。
そのために幼い私を攫い、あらかじめ用意されていた檻に閉じ込めた。

最初は逃げようと考えた。
考えたけどっ………!
幼い私には、ばれないように抜け出す方法なんか分からなくて!
ただ帰りたくてっ……、それだけだったのに……。

ご主人は私に言った。
〝お前はこれだ。〟
ご主人が手で表したのは3。
それは、人魚につけられるランク。
そこら辺に泳いでいる人魚には、ランクなんてつかない。
ランクがつくのは、ご主人に見初められた〝商品〟だけ。

幼い私にも分かった。
だけど認めたくなくて暴れた。
どれだけ頑丈なのって言いたくなるくらいびくともしない。

檻を殴る手は真っ赤。
血が出る程ではなかった。
でも私は所詮幼子。
私はすぐに止められた。
目が覚めたら手足がすごく重かった。
じゃら…って音がした。
もう驚かなかった。

ここまできて……、驚くことないでしょ?
助けは来ない。
そんな時だった。

人に見られてお金をもらう。
そんなことをさせられて、丁度100回目。
アイツが客として来た。
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