アメが降る
彼女の飴



雨が降る。




彼女がいなくなってから気づいた。


あの時以外
僕の前で涙を見せなかった彼女は
僕が思っていたほど強くはなかったのだと。




でも、
それでも、
彼女は僕は不安にさせまいと
涙を隠したんだ。




だからあの時、
僕は赤い瞳をして笑った彼女を
ギュッと抱き締めてあげるべきだったんだ。





あの時、彼女が必要としていたものは、
僕の下らない考えでもなく
神様の助けでもなく
飴でもなく



マイナス思考で頼りない僕だったんだ。


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