【完】あなたの指先で愛して
あなたの指先で愛して

「あ…のっ……雅也(マサヤ)……」



「今、話しかけんな」



必死でプログラミングしている時に話しかけんなよ…分かんなくなるだろうが。



よく言えば控えめ。


悪く言えばハッキリしない、うぜえ態度。



俺の彼女清香(キヨカ)。



「あっ…ゴメ、……」



またいつもみたいに目に涙ためてるんだろ?


付き合って四年。


もう、声だけで分かるんだよ。



「無理しないでね…それじゃあ」



清香は、腕にかけてたスプリングコートを羽織ると、パタパタと悲しげな音を立てながら、俺の働くオフィスから出て行った。



俺のデスクの隣には、ほうほうと湯気を立てる、ホットチョコレートが置かれていた。




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