【完】あなたの指先で愛して

そんな清香の優しいところ。


仕事でキリキリしていた俺は、癒された。



「俺と、付き合おう」



「……はい」



そう言ったら、清香は目を細めて、優しく笑った。


ホットチョコレートの甘い香りと、パソコンの機械的な音。


初めてキスをして、ホットチョコレート以外の清香の温もりを感じた。



清香の下唇は、ふにっとして柔らかくて。


俺は指先でその感触を確かめながら、何度もキスをした。



「なんだか不思議ですね」



「何が?」



「…だって、つい昨日まで、私といてもパソコンのタイプしか叩かなかった雅也さんの指先が、今は私の唇に触れているんだもん」



そう言って照れながら笑う清香が愛しくて。



「もっといっぱい愛してやるよ」



俺は清香の耳元で優しく囁いて、抱きしめたんだ。


< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop