【完】あなたの指先で愛して
「なんで…もう別れるって決めたのに。どうして優しくするの?」
清香は泣きながらそう言った。
「なんだよ…別れるって」
清香の言葉を聞いて、急にキリッと心が痛んだ。
頭がカーッとなって、目がじわじわと熱くなる。
なんだ、これ。
俺、清香の言葉にショック受けてる。
「だって、私のことなんてどうでもいいんでしょ?」
清香が涙を拭う俺の手を両手でそっと包んだ。
そして、自分の指先でなぞるようにして、俺の指先に優しく触れた。